Google は昨年、あらゆるユーザーが利用できる統合された同期ソリューション「パソコン版 Google ドライブ」を発表しました。これは、同社の従来の同期ソリューションである「ドライブ ファイル ストリーム」と「バックアップと同期」で生じた混乱により引き起こされていた、IT 管理上の課題を解決するツールとなっています。
このうち「ドライブ ファイル ストリーム」は基本的に「パソコン版 Google ドライブ」と同じ内容となっていますが、「バックアップと同期」の主要機能の一部は「パソコン版 Google ドライブ」と異なっており、導入をスムーズに行うにあたってその差異を把握しておくことが大切です。
「バックアップと同期」と「パソコン版 Google ドライブ」
Google の「バックアップと同期」と「パソコン版 Google ドライブ」の基本的な目的は同じで、いずれもユーザーのファイルへのアクセスをより便利にするための同期ソリューションとなっています。
ただし「バックアップと同期」では主にローカルでパソコンのドライブの同期と保存を行うのに対し、「パソコン版 Google ドライブ」は全コンテンツをクラウドからストリーミングするという違いがあります。
さらに詳細な部分では、いずれのソリューションもファイル アクセスの利便性を重視していますが、「パソコン版 Google ドライブ」はユーザーのクラウドを中心とした作業に焦点を当てており、よりきめ細やかな同期機能とクラウド コンテンツの制御が可能となっています。
※この記事は、米国 AvePoint で 2021 年 12 月 9 日付で公開された記事 “Google Backup and Sync vs. Google Drive for Desktop: What’s the Difference?” を日本語編訳したものです。
フォルダとファイルの同期
オフラインのパソコンでコンテンツにアクセスしたい場合、「バックアップと同期」で選択できるのはフォルダのみですが、「パソコン版 Google ドライブ」ではファイル単位での同期が可能です。これは、次のふたつの機能で実行できます。
- ミラーリング: ファイルをミラーリングすると、オンラインとオフラインのふたつのスペースから、基本的にファイルの種類を問わずアクセスできるようになります。すべてのファイルをオフラインで使用できるほか、変更もすべてオンラインで同期されます。そのため、ハード ドライブと Google ストレージ双方のスペースを消費します。一方、いつでもファイルにアクセスでき、ファイルを開くにあたって「パソコン版 Google ドライブ」のアプリを開く必要もなく、パソコンから直接アクセスできるというメリットがあります。
- ストリーミング: ストリーミングすると、マイドライブのファイルはクラウドに保存されます。ハード ドライブの使用量を減らしたい場合は、オフラインで利用するファイルを選ぶ必要があります。
オフラインで利用できるファイルを含め、全ファイルにアクセスしたい場合は、「パソコン版 Google ドライブ」のアプリを実行しておく必要があります。また、パソコン内の特定ファイルをオンラインのバージョンと同期させるか、切り離すかを選択することも可能です。
Google のサポート用ドキュメントには、ミラーリングとストリーミングの違いについて次のように記載されています。
同期削除
「バックアップと同期」では、パソコンと Google ドライブ間で削除を同期するかを選択できます。つまり、片方の記憶領域でファイルやフォルダが削除されたときに、もう一方の領域でそのファイルやフォルダを残せるということです。
しかし、「パソコン版 Google ドライブ」でファイルをミラーリングした場合はファイルに関するあらゆる変更がオンラインとオフラインの双方で同期されます。この変更には削除も含まれるため、片方の領域で削除されたファイルは、両方の領域において削除されます。
ただし、ストリーミングを選択した場合はファイルを仮想ドライブに保存 (ドラッグ アンド ドロップまたはコピー アンド ペースト) することでオンラインとオフラインのファイルを切り離すことも可能です。ファイルやフォルダの変更や削除は同期されず、ハード ドライブや仮想ドライブでファイルを削除しても、もう一方でコピーを保持できます。
Google フォトでのバックアップ
「バックアップと同期」の場合、Google フォトでファイルをバックアップする場合は、Google ドライブと Google フォトの両方に保存する必要があります。
つまり、コンテンツの大半が Google フォトの動画や画像となっているフォルダをクラウドで保存するには、Google ドライブに同じフォルダをアップロードする必要があります。
一方、「パソコン版 Google ドライブ」では、Google フォト内だけでバックアップするか、Google ドライブで同期するか、その両方を行うかを選択できます。
ただし、Google フォトだけでファイルをバックアップする場合は、ファイルに加えた変更は同期されません。そのため、Google フォトでファイルを編集や削除した場合でも、オフラインのバージョンには変更が反映されません。一方、オフラインでファイルを編集すると、そのファイルは新しいファイルとして Google フォトに再アップロードされます。
「Google ドライブ」でファイルを同期して Google フォトでバックアップする場合は、ファイルが 2 回別の領域にアップロードされるため、Google アカウントのストレージ使用量とネットワーク帯域幅が増加します。
その他の違い
ここまでストレージやアクセス、同期機能に関わる重要な特徴について述べてきました。Google が発表している両者の違いについてまとめた表を、以下に掲載します。
「パソコン版 Google ドライブ」への移行において管理者ができること
「バックアップと同期」のユーザーは、2021 年 10 月 21 日からアカウントにログインできなくなりました。「パソコン版 Google ドライブ」に移行していない場合、アカウントを接続するまでコンテンツが同期されない可能性があります。
新機能が利用可能になった時点で、管理者はレジストリ キーを介して制御できるようになります。「パソコン版 Google ドライブ」の導入後もファイルの同期を継続できるように、ユーザーの「パソコン版 Google ドライブ」への移行を支援することが重要です。十分な空き容量がなければファイルは同期されないので、利用可能なストレージの量についても考慮する必要があります。
移行に際して「パソコン版 Google ドライブ」の一部機能 (ローカル フォルダのミラーリングや、外部ドライブやデバイスからのファイルのバックアップ等) を有効にしたくない場合は、管理コンソールの「パソコン版 Google ドライブ」セクションで設定できます。
「パソコン版 Google ドライブ」のデータ制御は十分?
「パソコン版 Google ドライブ」ではクラウドがコンテンツの主な保存領域となり、同期によりファイルへのアクセスが便利になります。パソコンの使用領域の節約に確実に役立つソリューションとなっている「パソコン版 Google ドライブ」ですが、ここからはクラウド データの保護や、データ制御といった側面で要件を満たしうるのかを見ていきましょう。
Google は昨年、ストレージ ポリシーに関する変更を発表し、Google フォトや Google ワークスペース内のアプリのデータも、Google アカウントのストレージ使用量に含まれるようになりました。
ファイルの主要バックアップとして便利な「パソコン版 Google ドライブ」ですが、マイドライブのストレージ使用量が上限に達するとどうなるのでしょうか?上限に達した後、クラウド データはどのようにバックアップされるのでしょうか。
Google のネイティブ機能として、Gmail のごみ箱フォルダと迷惑メール フォルダ内のデータはそれぞれ 30 日間と 25 日間保持されます。このブログ記事では、Google ワークスペース全体におけるデータ保護の観点から、Gmail と Google のストレージについて把握しておくことがいかに重要かを解説しています。
コンテンツの削除から 25 日以内であれば管理者が復元できますが、それ以降は AvePoint の Cloud Backup for Google Workspace のようなサードパーティ製バックアップ ツールを使用しない限り、同期機能をもってしてもデータの復元は基本的に不可能です。
Cloud Backup を活用し、Google クラウド上のワークスペースの重要データを保護することで、データの損失やサービスのダウンタイムを回避できるだけではなく、ランサムウェア攻撃による被害を防ぐことができます。
Cloud Backup は頻繁に行われる自動バックアップ機能や細やかな一括復元機能、保存機能を備えており、さらには Google ドライブ内のコンテンツだけでなく、Gmail のデータ、共有ドライブ、連絡先、カレンダー データについても安全なストレージに保存することでデータのセキュリティを確保します。
こういったサードパーティのソリューションを活用してデータ制御とセキュリティを改善することで、ストレスのないクラウド体験を得られるでしょう。
当社のブログでは、クラウド バックアップ技術に関する最新ニュースをお届けしています。ぜひご登録ください。