サイバー攻撃の実態とは?企業のセキュリティ対策のポイントを解説

投稿日: 10/17/2024
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「うちの会社は小さいから」「これまで何も起きていないから」—— こうした考えが会社を危険に晒しているかもしれません。

デジタル化が加速する現代のビジネス環境において、企業の規模や業種に関わらず、情報セキュリティ対策はもはや必須となっています。

本記事では、サイバー攻撃の脅威を紹介し、情報セキュリティ対策の重要性について解説します。

サイバー攻撃の実態と影響

自社がサイバー攻撃の標的になると思わず危機意識が欠如していると、甚大な損害を起こす可能性があります。

国内のサイバー攻撃の実態

独立行政法人情報処理推進機構の調査によると、2023年度に国内のコンピュータ不正アクセス件数は届出数が243件、そのうち法人の届出は166 件 あったとのことです。しかし、これは氷山の一角に過ぎず、多くの企業が被害を公表していないか、あるいは攻撃を受けていることに気づいていない可能性があります。

内部不正やヒューマンエラーによる情報漏洩も多く発生しており、 外部からの攻撃と同様に深刻な問題となっています。

この深刻さを示す事例として、2023年に起きた大手通信企業の子会社による情報漏えい事件があります。コールセンターシステムの保守・運用業務を担っていた元派遣社員が、約10年に渡って約900万件の個人情報を不正に持ち出し、第三者に流出させました。情報の一部は名簿業者に流出した可能性が高く、企業が謝罪する事態に陥りました。

この事例は、内部脅威が外部からの攻撃と同等、あるいはそれ以上に危険であることを如実に示しています。

サイバー攻撃による影響

サイバー攻撃の影響は、想像以上に甚大です。特に中小企業にとっては致命的な打撃となる可能性があります。

1.金銭的損失

ランサムウェア被害では、システムの復旧費用、事業中断による損失も含めた被害額が数千〜数億円にのぼる可能性があります。

「令和5年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」(令和6年3月|警察庁) によると、2023年に報告されたランサムウェア被害197件のうち、調査・復旧費用について回答のあった118件中、1,000万円以上の費用を要したものが44件で37%を占めています。

2.業務停止

システムがダウンすることで、数日から数週間にわたって業務が停止する可能性があります。これは売上の減少だけでなく、顧客離れにもつながります。

3.信用失墜

情報漏洩やサービス停止により、顧客や取引先からの信頼を失うリスクがあります。一度失った信頼を取り戻すのは非常に困難です。

4.法的責任

個人情報保護法違反などで、高額な罰金や損害賠償を求められる可能性があります。

5.廃業リスク

米国の調査によると、中小企業の約60%がサイバー攻撃を受けた後、6ヶ月以内に廃業に追い込まれている そうです。

2019年の米国の事例では、 医療費債権回収業者の企業がサイバー攻撃を受け、複数の顧客企業の患者2000万人分の個人情報が流出。最終的に同社は連邦倒産法第11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請するに至りました。このケースは、サイバー攻撃が企業の存続にまで影響を及ぼす可能性を明確に示しています。

情報セキュリティ対策の重要ポイント 6選

企業がセキュリティ対策を講じることの重要性は多岐にわたりますが、ここでは特に重要な6つのポイントを解説します。

1. 自社の情報資産の把握

まず自社が保有する重要な情報は何か、それらがどこにどのように保管されているかを把握することが重要です。これにより、優先的に守るべき対象が明確になります。

2. コスト対効果

セキュリティ投資は一見コストに見えますが、長期的に見ると非常に効果的です。サイバー攻撃による被害額と比較すれば、予防的な投資の方が遥かに経済的です。

3. 法的要件とコンプライアンスの遵守

個人情報保護法や業界固有の規制を遵守することは、単に罰金を避けるだけでなく、取引停止などのビジネスリスクを回避することにもつながります。

4. 事業継続性の確保

システムダウンによる業務停止、重要データの喪失、取引先からの信頼喪失などを避けることで、ビジネスの継続性を確保できます。

5. 人材育成

従業員への啓発や教育は、内部からの情報漏洩リスクを低減し、組織全体のセキュリティ意識を向上させます。

6. リスク確認と対策の優先順位付け

限られたリソースで効果的にセキュリティを強化するために、自社の脆弱性を特定し、リスクの影響度と発生確率をチェックすることが重要です。

企業が導入できる情報セキュリティ対策の具体例

企業規模や予算に応じて段階的に導入できる、効果的なセキュリティ対策をご紹介します。

すぐに始められる基本的対策

ウイルス対策ソフトの導入と定期的な更新

最新のマルウェアやウイルスから保護します。

強力なパスワードポリシーの導入

複雑なパスワードの使用を義務付け、定期的な変更を促します。

従業員向けセキュリティ教育の実施

フィッシング詐欺の見分け方や、安全なデータ取り扱い方法などを教育します。

重要データの定期的なバックアップ

ランサムウェア被害時のデータ復旧に備えます。

中小企業でも導入しやすい高度な対策

クラウドベースのセキュリティサービスの利用

初期投資を抑えつつ、高度なセキュリティ機能を利用できます。

多要素認証の導入

パスワード漏えい時でも、不正アクセスを防ぎます。

ネットワークの暗号化(VPNの利用)

リモートワーク時の安全な通信を確保します。

セキュリティインシデント対応計画の策定

攻撃を受けた際の対応手順を事前に準備します。

段階的なセキュリティ強化プラン

現状のリスク評価

自社のシステムやデータの脆弱性を特定し、潜在的な脅威を分析します。重要な情報資産の洗い出しと現在のセキュリティ対策の評価を行います。

基本的な対策の導入

リスク評価に基づいて、最も緊急性の高い基本的な対策を実施します。ウイルス対策ソフトの導入、強力なパスワードポリシーの実施、重要データの定期的なバックアップなどが含まれます。

従業員教育の実施

全従業員を対象に、情報セキュリティの基本、フィッシング詐欺の見分け方、安全なデータ取り扱い方法などについて定期的な教育を行います。

高度な技術的対策の段階的導入

多要素認証、ネットワークの暗号化、高度なエンドポイント保護など、より高度な技術的対策を段階的に導入します。予算と優先度に応じて計画的に実施します。

定期的な見直しと改善

新たな脅威の出現や技術の進歩に合わせて、定期的に対策の見直しと改善を行います。年1回のリスク評価再実施とインシデント対応計画の模擬訓練を推奨します。

この段階的なアプローチにより、企業は自社のリスクと資源に応じて、効果的かつ効率的にセキュリティ体制を強化することができます。

今すぐ行動!企業セキュリティ対策の第一歩

情報セキュリティ対策は、企業の規模や業種を問わず、すべての企業にとって不可欠です。

「うちの会社は大丈夫」という思い込みが最大のリスクとなります。

適切な対策により、サイバー攻撃のリスクを大幅に軽減できます。

基本的な対策や従業員教育から始め、段階的に強化していきましょう。

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