NEC ネッツエスアイ、AvePoint のサービスを利用してユーザー インターフェイスのカスタム開発・IT サービスの自動化を実現し、自社ニーズに合致した SharePoint を手に入れる
クリティカル ニーズ
- IT リテラシーの高い·低いにかかわらず、すべてのエンドユーザーがエクスプローラーのように簡単に操作できる情報共有基盤を、SharePoint Server で実現したい
- 人の手に頼らずに SharePoint の運用品質を保持して IT ガバナンスを徹底したい
バックアップ & リカバリー
Governance AutomationDocAveSharePoint 2010
Windows Server 2008 R2
SQL Server 2008 R2
SharePoint Server 2010 SP1
FAST Search Server 2010 for SharePoint
検討の始まった 2008 年当時、部門別のファイルサーバーが全社で 100 台以上にまで膨れ上がり、管理レベルも統一されていなかったことから、情報の一元管理が課題となっていました。
全社でコンテンツを一元管理するミドルウェアとして SharePoint Server 2010 を採用することを 2011 年に決定し、2012 年 5 月より稼働を開始しました。併せて、全サイトコレクションの一元管理やサイトの作成を IT 部門が統括するために、AvePoint の DocAve ソフトウェア プラットフォームを導入し、SharePoint の運用管理が始まりました。
システム構成図
<平見氏>
情報共有基盤の導入に際して ICT 責任者が最も重視していたのは、1) 利用者に手間を取らすことなく、利用者目線での操作性を担保する、2) 運用にあたっては、人の手に頼ることなく IT の力を活用して運用品質を担保し、なおかつ IT ガバナンスを徹底する、ということでした。
- SharePoint のユーザー インターフェイス (UI) を大規模にカスタム開発されましたが、その理由は?
<平見氏>
当社ではシステム利用時の組織階層が非常に重要視されているため、階層構造を一つの画面で表示できることが重要な要件の一つでした。
また、事業拡張などによって組織構造が変化しても、常に階層別に、一つの画面で美しく表示できることも重要でした。
さらに、当社で長年使われていたファイルサーバーと変わらない操作性を担保した上で、エンドユーザーにとっての使いやすさを確保する必要もありました。
こうした理由から、SharePoint の標準画面を活用するのではなく、SharePoint の UI のカスタム開発に踏み切りました。
- UI のカスタム開発をするにあたり、AvePoint の SharePoint カスタマイズ サービス 「AvePoint パートナー サービス (APPS)」 がお手伝いさせて頂きましたが、APPS を選んだ理由は?
<平見氏>
我々がやりたいことを 100% 言語化して伝えるのは困難でした。しかし、AvePoint は 30 ~ 40 の要件を話しただけで、我々の気付いていなかった要件も含めた形できっちり提案してくれたので、これが選定の決め手となりました。
我々のやりたいことを要件定義する過程では様々な課題に直面しましたが、AvePoint からは決して 「できない」 という回答は返ってこず、必ず代替案を提示してくれました。
さらに AvePoint は、当社の ICT 責任者と何度も議論を重ね、かなり早い段階から構想を具体的な要件定義に落とし込み、モックアップを作って提案してくれました。
また、週に 1 ~ 2 回は来社し、当社の経営幹部向けの稟議資料を ICT 責任者や IT 部門と一緒に作り込んでくれました。
その際、午前中に資料の修正を依頼すると、その日の午後には修正版を持ってくるというスピード感で好感が持てたことも大きかったと思います。
- エンドユーザーにとっての使いやすさを実現するために、具体的にどのような点にこだわって、SharePoint の UI をカスタマイズしたのですか?
<平見氏>
エンドユーザーの IT スキルのレベルは様々ですが、あまり IT スキルが高くないユーザーでも容易に使いこなせるものを基準に考え、設計を心がけました。
<経営システム本部 ICT インフラ部 青木氏>
ICT 責任者より、拡張機能は極力少なくするよう指示がありました。そのため、なるべく右クリックせずに操作できるよう、ボタンを配置するなどして、工夫を凝らしました。
例えば、資料のチェックイン・チェックアウトの際は、ファイルの閲覧と編集というアクションを、あえてそれぞれ別のボタンで表しました。
これにより、経営幹部など、ファイルを閲覧したいだけの人は、ボタンを押すだけで希望の資料を閲覧することができます。
<平見氏>
セキュリティ強化の観点からは、新規ファイルの登録時には必ず、権限設定画面を表示させ、エンドユーザーに 「誰が見ることができるのか?」 を選んでもらうようにしました。
機密情報の外部漏えいにより、会社の信用失墜や事業継続性が損なわれるリスクは常に意識しており、権限設定、すなわち、セキュリティには特にこだわりました。
カスタム開発した UI の一例:
グループ全体 お知らせ機能 | SharePoint 運用・サービス状況に関するお知らせを左上に赤字で表示する |
コンテンツ 検索機能 | ファイルの更新期間、領域、種類、更新者、ファイルサイズなどの様々な条件で絞り込み検索ができる。検索結果の件数を最大で 1,000 件まで表示できるようにする。1,000 件以上が該当する場合は、ユーザーに絞り込み検索を促すアラートを赤字で表示する |
文字サイズ変更機能 | ユーザーは画面上で文字サイズを変更できる |
階層表示 | 第一階層 (事業部)、第二階層 (部門)、第三階層をツリー表示し、階層が下がるにしたがって右斜め下にスライドするように配置し、視覚的に分かりやすくする。階層別にフォルダを色分けして表示する |
文書管理 機能 | ユーザーは個人サイトでお気に入りサイトの登録、最近閲覧・使用したファイルを表示できる |
個人サイトの左側にはサイト構造がツリー表示され、右側にはフォルダとファイルが表示される | |
ユーザーは、SharePoint 内あるいは SharePoint とデスクトップ間で、フォルダおよびドキュメントのドラッグ&ドロップができる | |
フォルダおよびドキュメントの切り取り、コピー、貼り付け、削除、プロパティの編集、チェックイン・チェックアウト、チェックアウトの破棄、バージョン履歴編集ができる |
カスタム UI の一例
<平見氏>
プロジェクトはプライム IT ベンダーと AvePoint Japan が連携する形で進められました。そのベンダーと AvePoint Japan の営業担当の方のほかに、当社専任の AvePoint Japan のエンジニアの方がプロジェクトを主導してくれました。
実務面においてはこの専任エンジニアを日本側の窓口として、米国や中国など海外にいる AvePoint パートナー サービスのメンバーが実際の UI の開発からリリースまでの実務を行ってくれたと記憶しています。SE、デベロッパー、QA など総勢 9 名の AvePoint の方が関わってくれたはずです。
2011 年 12 月より開発に着手し、半年後に完成にこぎつけ、2012 年 5 月にエンドユーザーに公開しました。
<青木氏>
SharePoint の仕様の特徴である、「アクセス権の権限継承(※)」 の概念を理解した上で、我々の意図する通りの階層表示を実現することにとても苦労しました。
階層の途中で上位の権限を解除し、特別な権限を設定する必要があったのですが、そうすると下の階層が思い通りの動きをしません。プロジェクト専任の AvePoint Japan のエンジニアとともに、「この階層でアクセス権限を切ったらどうなるか?」 と、様々なケースをホワイトボードに書き出して、夜遅くまで議論をし尽くしたのはとても印象深い思い出です。
※権限継承とは
SharePoint の既定では、サイトとコンテンツは、サイト階層内の上位サイトから、つまり親サイトからグループとアクセス許可レベルを継承します。
権限継承を利用すると、サイトとそのすべてのサブサイト、およびこれらのサイトのコンテンツすべてに対する権限を 1 か所から、つまりトップサイトからすばやく効率的に管理することができます。(Microsoft Japan のウェブサイトより一部抜粋)
<平見氏>
SharePoint のリリース後、積み残しのタスクとして存在していた、1) 組織変更・人事異動に伴うサイト・コンテンツの移動および作成処理、2) ストレージの使用容量の可視化とレポート化の 2 点でした。
<青木氏>
当社では、8,000 人のエンドユーザーによる SharePoint の利用を想定しており、現時点で部門別のサイトコレクションが 500 件、プロジェクトサイトコレクションが 500 件があります。
SharePoint の設計当初、予算の関係もあり、前述のタスクについては特に IT ツールは使わずに、IT 部門の我々2 名で鋭意対応しようと準備を進めていました。
ところが、ICT 責任者から 「人がやるとミスが起きる。IT 部門はサービス品質を担保しなければならない」 という鋭い指摘を受けました。これを受けて、エンドユーザーからのサービスリクエスト処理を、可能な限り IT によって自動化し、人為ミスを防止するソリューションを検討するようになりました。
<平見氏>
まず、容量の変更などエンドユーザーからの依頼を、IT 部門の手を煩わせることなく自動処理できることと、それによって人為的ミスを防げる点を評価しました。
それに加えて、リクエストを処理するプロセスにおいて、IT 部門の定めたルールを適用し、IT ガバナンスを全社にわたって徹底することができるという点も、選定の大きな理由です。
エンドユーザーの視点に立って考え、リアルタイムでリクエストが処理されること、使いたいタイミングで待機時間なく、新規のサイトを準備できることを評価しました。
それから、部門長 (管理者) が各自の部門の人員による容量の使用状況を見える化・レポーティングして、コスト管理を実行できる点も良かったですね。
<平見氏>
本格的な運用はこれからですが、エンドユーザーが IT 部門にリクエストできるサービス メニューとして、プロジェクト サイトの作成、容量の変更、容量の使用状況のレポーティング、ワークフローによる個別権限の付与などを用意しているところです。
これを GA+で自動処理することになります。プロジェクト サイトの作成は全員に、容量の変更依頼はサイト コレクションの管理者に、レポーティングは部門長以上にそれぞれ使用可能にする予定です。
コスト削減の観点から期待していることは、リード タイムの短縮です。従来、サイト コレクションの管理者がプロジェクト サイトの作成を IT 部門に依頼してから、タイムリーに提供することができませんでした。
ですが、GA+ を使うことで、即座にサイト提供ができるようになるため、ビジネス スピードを加速させる事ができると期待しています。
GA+ によってエンドユーザーに提供されるサービス
<青木氏>
UI のカスタム開発により、従来から使われていたエクスプローラーと変わらない UI ・UX を実現できたため、SharePoint のサービスイン後も、SharePoint の使い方に関するエンドユーザーからの問い合わせはほとんどありませんでした。
今後は、GA+ と SharePoint をさらに連携させて、ファイルのアーカイブを自動実行できるサービスも追加するなどして、エンドユーザー向けのサービスを拡充していきたいと考えています。
<平見氏>
UI のカスタム開発の際に感じたのは、レスポンスの速さと提案資料の明快さ、分かりやすさですね。
またDocAve や Governance Automation (GA+) もそうですが、製品の発想がユニークで、SharePoint を運用する我々自身も新たな気づきを得られたと思います。
それから、障害対応能力が高いですね。他のベンダーでは解決に 24 時間かかった障害を AvePoint では最短 4 時間で解決してくれました。スピード感があります。
<青木氏>
UI のカスタム開発では、リリース後に、新規文書の登録時に出てくるはずの画面が表示されないという障害が発生しました。
しかし AvePoint パートナー サービスの中国の担当者が、有効にする必要のないはずの機能が有効になっていることを突き止め、問題を解決してくれました。SharePoint そのものを細部にわたるまで深く理解しているからこその障害対応能力だと感じました。
<平見氏>
AvePoint へのさらなる期待という点であえてお話する事としては、製品の機能テスト面についてはより強化いただきたいと感じるところもありました。
高いサポートレベルを保持されているのでこの点については今後の改善に期待しています。
NEC ネッツエスアイ株式会社は、1953 年に創立し、ネットワークをコアとする ICT システムに関する企画·コンサルティングや設計·構築などの提供、および国内 400 ヶ所以上のサポートサービス拠点による 24 時間 365 日対応の保守・運用、監視サービスならびにアウトソーシングサービスを提供しています。2013 年 12 月に創立 60 周年を迎え、オフィス改革ソリューション 「EmpoweredOffice (エンパワード オフィス)」 などの独自事業の展開も強化しています。