挑戦

1,300 人のスタッフと 18,000 人を超えるボランティアを抱える RSPB では、英国本部と国内３か 所のオフィス、さらに国外9か所のオフィスとの間で、効率的なナレッジ・ワーカー同士のコラボレーション を目的として SharePoint を活用していました。現在 RSPB の環境には従業員とボランティアを合わ せて 130 名のユーザーがおり、チーム サイト・プロジェクト サイトの作成やドキュメントの共有、リソース へのアクセス、ブログのメンテナンスなど、プロジェクトにおけるコラボレーションの場として積極的にプラット フォームを活用しています。組織内には 28 のチーム サイト、14 のプロジェクト サイト、26 のワークグ ループ サイトがあり、ファーム構成は Web フロントエンド１台、SQL サーバー１台となっています。さら にそれぞれが仮想化された環境を構築しています。

プラットフォームの活用を通して、RSPB は SharePoint の持つ情報共有・組織内コラボレーションを 実現するツールとしての機能を非常に高く評価していました。「プロジェクトのいくつかでは使用するドキ ュメントをすべて SharePoint 上に保管しており、タスクやカスタム リストといったプラットフォームの機能 も活用しているようです」 RSPB 情報サービス スペシャリストの Lucy Garrett 氏は話します。「デー タを共有ドライブに保管するよりも、情報アクセス管理の機能を備えた SharePoint の方が優れてい ます。また、ナレッジを使いやすくアクセスしやすい形で保管するストレージとしての機能だけでなく、ブロ グや Wiki といったシステムも情報共有に役立っています」 やがて RSPB は、Microsoft SharePoint 2003 と Microsoft Office SharePoint Server (MOSS) という２つのバージョン を使い分けていくようになります。

ただ RSPB では、SharePoint の活用を積極的に進めてきたのは組織 内でほとんど IT 部署のみという現状がありました。そこで RSPB は SharePoint の使用をマーケティング チームにも拡大することを決めま す。ちょうどこの頃、RSPB では SharePoint 2010 への切り替えを検 討し始め、最新の機能を最大限活用するため既存環境からすべてのデー タを 2010 へと移す計画を立てていました。

しかしながらこの計画にはいくつかの大きな問題がありました。２つの全く異なる環境から同時に移行するという複雑な工程に加え、SharePoint の既定機能では 2003 から 2010 へ直接データを移行する方法がなか ったのです。「予算も限られ、SharePoint 管理者も３名しかいないという状況の中、SharePoint の既定機能のみを使用して移行作業を進め るのは困難を極めました。当時の概算では、すべての作業を完了するのに 最低でも５か月はかかるだろうと考えていました」 RSPB ビジネス情報マ ネージャーを務める Jo Bryce 氏は語ります。「私たちの環境にとってさら に重要なことは、移行の際にデータが損失してしまうということがないように することです。データを完全忠実な形で移行することができるような形を模 索していました」

SharePoint 2003 や MOSS 2007 から SharePoint 2010 へのア ップグレード作業を、できるだけシンプルに、かつデータの完全忠実性を維 持したまま行う形を目指し、RSPB の担当者はサードパーティの移行ソリ ューションを検討し始めます。