企業の情報セキュリティを脅かす深刻な問題として、近年「シャドーIT」が注目されています。シャドーITは、企業の情報資産を危険にさらすリスクを高めます。本記事では、シャドーITの実態と対策について解説していきます。
目次
シャドーITとは?引き起こされるさまざまなリスク
シャドーITの定義
シャドーITのセキュリティリスク
シャドーITによるITコストの増加
シャドーITによるガバナンス崩壊
シャドーITが発生する原因
業務効率化への欲求とITリソースの不足
シャドーIT対策は何から始めるべき?
STEP1.シャドーITの可視化が不可欠
STEP2.セキュリティポリシーの整備が急務
STEP3. 従業員に対するシャドーIT教育の実施
STEP4. 業務で利用可能な代替ソリューションの提供
まとめ:シャドーIT対策のポイント
シャドーITとは?引き起こされるさまざまなリスク
シャドーITの概要、そして企業におけるリスクとはどのようなものなのでしょうか。シャドーITが組織にもたらす脅威の実態を確認しましょう。
シャドーITの定義
シャドーITの定義は、従業員が業務で許可されていないITツールやサービスを勝手に利用することです。会社から支給されたPCにツールを無断でインストールしたり、クラウドサービスを無断で契約したりすることがシャドーITに該当します。この無秩序な行為がもたらすリスクは企業に深刻な影響を及ぼします。
シャドーITのセキュリティリスク
シャドーITで利用されるツールがマルウェアに感染していれば、機密データの流出につながる恐れがあります。不審なツールの利用は、企業の情報資産を危険な状況に晒すことになるのです。セキュリティ対策が不十分なツールは、情報漏えいの温床となります。
シャドーITによるITコストの増加
シャドーITツールが無秩序に乱立すれば、その利用に伴う電力消費の増加やシステムリソースの無駄遣いなどから、ITコストがかさんでしまいます。把握されていないツール利用による運用コストの増大は、企業に大きな負担を強いることになります。
シャドーITによるガバナンス崩壊
ITツールの利用を従業員個人に委ねれば、ひとりひとりが異なるツールを使うことになり、データの一元管理が困難になります。このようにガバナンスが保てなくなれば、適切な情報管理は立ち行かなくなるでしょう。
シャドーITが発生する原因
シャドーITが企業内にはびこる背景には何があるのでしょうか。従業員の立場に立って考えると、シャドーITに走った原因がうかがえます。
業務効率化への欲求とITリソースの不足
「このツールを使えば業務がもっと効率的にできそうだ」「会社が用意するITツールでは業務がしづらい」そう感じた従業員は、勝手にツールを使い始めがちです。業務をスムーズに行いたい欲求や、社内ITリソースの不足が、シャドーIT発生の大きな原因となっています。従業員のニーズを満たせないと、自力で便利なツールを利用してしまい、結果としてシャドーITにつながるのです。
「自分だけの利用なら大丈夫だろう」そんな安易な認識を持っていると、従業員はシャドーITを利用し、企業をセキュリティリスクに晒してしまいます。シャドーITのリスクを正しく認識していない場合、簡単に起こりうる問題なのです。
シャドーIT対策は何から始めるべき?
シャドーITが企業に与えるリスクは甚大ですが、適切な対策を講じることでリスクを低減できます。シャドーIT対策に取り組む際、最初に重要となるステップを押さえた上で、各施策を着実に実行していくことが肝心です。
STEP1.シャドーITの可視化が不可欠
シャドーITを適切に管理するには、まずその実態を正確に把握する必要があります。組織内で起きているシャドーITの全容を可視化し、現状を掴むことが対策の出発点となります。IT部門が主導し、従業員に利用実態のヒアリングを行ったり、ネットワークの通信を監視したりと、徹底的な実態の収集に努める必要があります。
STEP2.セキュリティポリシーの整備が急務
シャドーITの実態を把握したら、すぐにセキュリティポリシーの整備に着手する必要があります。業務でどのITツールの使用が許可されるのか、ポリシーを明確にし、従業員に対して周知徹底することが重要です。周知の際は研修を開くなどして、ポリシーの内容を従業員一人ひとりに浸透させることが求められます。
STEP3. 従業員に対するシャドーIT教育の実施
セキュリティポリシーの周知とあわせて、シャドーITが企業にもたらす危険性について、従業員一人ひとりの意識を高める取り組みも欠かせません。シャドーITによる情報漏えいリスクやコスト増の恐れなどを、インパクトを持って啓発し、シャドーIT利用の抑制を図る必要があります。
STEP4. 業務で利用可能な代替ソリューションの提供
無秩序にシャドーITが利用されるのを防ぐため、会社として業務で利用可能なセキュアなソリューションをあらかじめ用意し、従業員に提供することも有効な施策です。シャドーITは業務の効率化ニーズから発生するケースが多いため、利便性とセキュリティを両立したソリューションを用意し、従業員がシャドーITに手を染める必要がないよう配慮することが重要です。
まとめ:シャドーIT対策のポイント
シャドーITは企業の存続を脅かす深刻な問題です。情報セキュリティ上の脅威に加え、コスト増加、ガバナンス崩壊など、多岐にわたる深刻な影響が生じる可能性があります。このようなリスクに手を打つには、まずシャドーITの実態を正確に把握することが不可欠です。組織内のシャドーIT利用状況を可視化し、客観的な情報収集から対策を始める必要があります。
一方で、業務の効率性やユーザビリティを損なうことなく、セキュリティを確保することも重要な課題となります。シャドーITによるリスクを低減させつつ、利用者の利便性も維持できる方策が求められています。シャドーITは従業員の些細な行動から生じるものの、一度発生すれば企業に重大な被害をもたらしかねません。シャドーITへの適切な対策は喫緊の課題であり、その実態把握と予防策の確立が企業の存続に関わってくるといっても過言ではありません。