そこで今回は、非エンジニアでもアプリを作成できる「 Power Apps 」について、活用するメリット・デメリット、活用事例、利用料金などについてわかりやすく解説します。本記事を読むことでPower Apps についての理解を深めていただけるでしょう。
Power Apps を上手に活用すると社内向けアプリ開発を手軽に行い、コストも削減することが可能です。ぜひ参考にしてください。
Power Apps とは?
Power Apps とは、Microsoft 社が提供しているローコードの業務アプリ開発ツールです。同社で提供されるサービスの「 Power Platform 」を構成するアプリケーションの 1 つとなっています。
通常、アプリ開発では専門知識を持ったエンジニアが必要です。しかし Power Apps は非エンジニアでも、業務で利用するアプリの開発ができるようになります。
作成したビジネスアプリケーションは、 Microsoft 365 などの Microsoft 製品との連携が可能です。また、Windows と MacOS のどちらでも動作しますし、専用アプリをインストールすればモバイル端末でも動作します。そのため、動作環境ごとに合わせてアプリケーションを作成する手間がかかりません。
Power Platform とは
Power Platform とは、ローコードツールを使用して開発コストを削減し、短時間で便利なアプリケーションを開発するためのプラットフォームです。 Power Platform は、 Power Apps を含めた以下の 5 つのアプリケーションで構成されています。
アプリケーション
機能
Power Apps
・プロレベルのアプリケーションの構築
・コーディングなしでワークフローを自動化
Power BI
・視認性の高いレポート出力やリアルタイムの情報分析
Power Automate
・タスクとワークフローの自動化
Power Pages
・セキュアなビジネス向けのWebサイトの構築
Copilot Studio
・検索エンジン型チャットボット「 Microsoft Copilot 」のカスタマイズ、独自作成
Power Apps は単体で利用するだけでなく、ほかの機能と組み合わせると、さらに柔軟で高度な機能を実装できます。
Power Apps でできること
Power Apps を使うことで、ローコードでアプリを作成することができます。開発できるアプリはキャンバスアプリ、モデル駆動型アプリの 2 種類です。それぞれのアプリの特徴について、以下で解説します。
Power Appsは、ほかの Microsoft 365 の製品と連動できるという強みがあります。
通常は外部のデータと連携をするには、専門的な知識やスキルが必要となります。しかし Power Apps では、 500 を超えるコネクタの活用が可能です。 Power BI はもちろん、 OneDrive にアップロードされている Excel などとの接続もサポートしています。そのほかにも Microsoft Azure や、 Power Automate 、 Microsoft Teams といった製品との連動が可能です。
Power Apps は、ただのアプリ作成ツールではなく、業務の自動化や効率化、生産性の向上につながるツールだと言えるでしょう。
業務アプリにAI機能を組み込める
Power Platform の機能の 1 つに、 AI モデルを構築できる「 AI Builder 」があります。Power Apps に AI Builder を組み込むと、 AI 機能を業務アプリに組み込むことが可能です。方法は 2 つあります。
1 つは Power Apps の数式バーから AI Builder の AI モデルを使用する方法です。以下の 5 つの機能を使えば、テキストや音声などのデータを処理する業務アプリを作成できます。
感情分析
エンティティ(商品、顧客などのデータ)の抽出
キーフレーズ抽出
言語検出
カテゴリ分類
もう 1 つは、 以下の AI Builder のコンポーネントを追加する方法です。
名刺リーダー(キャンバスまたはモデル駆動型アプリ)
領収書プロセッサ(キャンバスアプリ)
テキスト認識(キャンバスアプリ)
写真撮影や画像の読み込みを行うフォーム プロセッサ(カスタム AI モデル)
物体検出(カスタム AI モデル)
これらを利用すると、実用的な機能を簡単に組み込めます。
データ分析ができる
Power Apps は、コネクタによって任意のデータソースに接続し、データを分析できます。
たとえば Excel や Power BI などの Microsoft 製品と連携させてデータ分析ができます。また、 Oracle DB や Azure DB などのデータベース、 Salesforce 、 Google Drive といった他社サービスと接続すれば、広範なデータを分析可能です。
セキュリティ機能が充実している
Power Apps はセキュリティ機能が充実しているのが特徴です。たとえば以下の 4 つの層において、ユーザー単位で権限を設定できます。
層
具体例
アプリレベル
売上アプリ
フォームレベル
顧客カード
レコードレベル
○○株式会社
フィールドレベル
売上金額
また、 Power Platform の管理者は Power Apps のログを監視・検索できます。この機能は、 Power BI や Microsoft Teams など Microsoft 製アプリケーションの多くと一元的に使えることが特徴です。
Power Apps を使用するデメリットは?
Power Apps にはデザイン性や、開発の規模に関するデメリットも存在します。今回は気になる、 2 つの点について解説します。利用をするうえで、どのような点がデメリットとなるのかを、事前に確認しましょう。
デザインの自由度は低い
Power Apps は初心者でも、時間をかけずにアプリが作成できるツールですが、デザインの自由度は高くありません。 既存のパーツを用いて作成するのが基本となるため、 0 からアプリを作成する方法と比べ、デザインはある程度固定化されることになります。
Power Platform のアプリの 1 つである Power Apps は、初心者でも低コストかつ短期間でアプリ開発ができるツールです。自社の業務効率化につながるアプリを、専門のエンジニアがいなくても開発できます。
また、 Power Apps は同じ Power Platform に含まれる Power BI や Power Automate などのアプリケーションや、 Microsoft 365 や Teams といった Microsoft 製品との連携が可能です。すでに Microsoft 製品を導入している場合は特に、より仕事を進めやすい環境を作れるでしょう。 IT エンジニア以外の人でも、勤怠アプリや在庫管理アプリなどを開発できます。
ただし、ローコードで開発できる分、大規模で高度な開発には向かない点には注意が必要です。どのようなアプリを作りたいのか、 Power Apps で実現可能かどうかは事前に確認しましょう。
目的を絞って活用すると、Power Apps は非常に便利なツールです。自社の業務効率化を考えている人は、ぜひ Power Apps によるアプリ作成をご検討ください。