​​Microsoft 365 Entra ID とは?認証周りだけじゃない、充実の機能やメリット​

投稿日: 03/27/2025
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​​現代のビジネス環境では、リモートワークの普及やクラウドサービスの利用拡大により、企業のセキュリティ管理が複雑化しています。​

​​Microsoft Entra ID は、ユーザー認証やアクセス制御を一元的に管理し、セキュリティの強化と業務効率化を実現するツールとして有用です。​

​​今回は、Microsoft Entra ID の主要機能、各プランの価格、導入によるメリット、考慮すべき課題について詳しく解説します。​

Microsoft Entra ID とは?​

​​Microsoft Entra ID は Microsoft Entra 製品群の一つで、ユーザーのクラウド ID やアクセスの管理を行うサービスです。​

​​以前は Azure Active Directory (Azure AD) という名称でしたが、2023 年 10 月に改称されました。サービス内容や機能そのものに大きな変更はありません。​

​​Microsoft Entra ID は多要素認証(MFA)やシングルサインオン(SSO)といった機能により、不正アクセスや情報漏洩のリスクを低減し、セキュリティを強化します。​

​​Microsoft Entra ID を活用することで、リモートワークなどにおいて場所やデバイスを問わず、安全なデータアクセスを実現できます。​

Microsoft Entra ID の機能​

​​Microsoft Entra ID は、組織のセキュリティと効率性を高める多彩な機能を提供しています。​

​​ここでは、その主要な機能について詳しく紹介します。​

アクセス管​​理​

​​Microsoft Entra ID では、ゼロトラストモデル※に基づき、ユーザーごとにアクセス可能なアプリケーションやサービスを管理します。さらに、特定のデバイスのみアクセスを許可するなど、デバイスベースでの制御も可能です。​

​​組織内の重要なリソースへのアクセスを厳密に管理し、不正アクセスのリスクを低減します。​

※ゼロトラストモデルとは、「何も信頼しない」を前提に、ユーザーの身元やデバイスの状態を常に確認・検証しながら最小限のアクセスを許可するセキュリティモデルのこと。​

ID 管理​

​​Microsoft Entra ID は、効率的なユーザーの ID 管理に役立ちます。​

​​たとえば、人事異動や部署の改編に伴う権限の付与や変更を一括で行うことが可能です。手動処理より更新作業が迅速になるだけでなく、設定ミスの発生も抑えます。​

​​​さらに、ライフサイクルワークフロー機能を活用することで、ユーザーの入社、異動、退職といったイベントに応じたワークフロータスクを自動化できます。​

​​ID とアクセスプロセスの自動化、ビジネスグループへの委任、可視性の向上など、管理業務の省力化や効率化に有効です。​

各種サービスとの連携​

​​Microsoft Entra IDは、AWS や Salesforce といった他社クラウドサービスとの連携もスムーズです。Microsoft Entra ID で異なるプラットフォーム間のユーザー管理を統合できるため、運用効率が向上します。​

​​たとえば、AWS IAM Identity Center と Microsoft Entra ID を連携させて、組織全体の ID 管理を一元化するような運用も行われています。​

シングルサインオン​

​​Microsoft Entra ID はシングルサインオン(SSO)をサポートしています。​

​​ユーザーは一度のログイン認証で、連携している複数のアプリケーションやサービスにアクセス可能です。​

​​Microsoft Entra ID のシングルサインオン は、Microsoft 365 をはじめ、Google や Facebook、Box、DocuSign など多くの SaaS アプリケーションに対応しており、ユーザーエクスペリエンスの向上とセキュリティの強化を両立できます。​

多要素認証​

​​Microsoft Entra ID は、多要素認証(MFA)を採用しています。​

​​多要素認証とは、ワンタイムパスワードや生体認証など、複数の認証要素を組み合わせて、パスワード単体での脆弱性をカバーする認証システムのことです。パスワードの漏洩やブルーフォース攻撃(総当たり)による不正アクセスのリスクを大幅に低減します。​

​​さらに シングルサインオン と併用することで、ユーザーの利便性をそれほど損なうことなく、より強固な認証プロセスを確立できます。​

アクセスログの取得​

​​Microsoft Entra ID は、サインインや監査ログといったユーザーのアクティビティを記録し、アクセスの監視と分析に活用できます。危険なユーザーやリスクの高いサインインを検知することが可能です。​

​​ただし、これらのログデータは、危険なユーザーを除いて最大で過去 30 日分しか保管されないため、長期的な分析やコンプライアンス対応には、外部のログ管理ソリューションとの連携が必要となる場合があります。​

Entra ID のプランや価格は?​

​​Microsoft Entra ID には、Free、P1、P2 の 3 つの主要プランがあります。​

​​Freeプランは、Microsoft Azure や Microsoft 365 などの Microsoft クラウドサブスクリプションに含まれており、基本的なユーザー管理や多要素認証などの機能を提供します。​

​​また、より包括的な ID およびアクセス管理ソリューションを利用できる Microsoft Entra Suite も選択可能です。​

​​プラン​​​月額(1ユーザー)​​​主な機能​
Free​​無料​
  • ​基本的なユーザー管理
  • 多要素認証​
P1899円
  • ​Microsoft Entra ID の全機能
  • ID 保護機能の一部​
  • ガバナンス機能の一部​​
P2​​1,349円​
  • Microsoft Entra ID の全機能
  • ID 保護の全機能
  • ガバナンス機能の一部(特権 ID 管理などが追加)​
Microsoft Entra Suite​​1,799円​
  • Microsoft Entra ID の全機能​
  • ID 保護の全機能​
  • ガバナンスの全機能​
  • ID 管理に加えて、ゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)を利用したセキュリティ機能​

​​​各機能の詳細は、公式サイトをご参照ください。​

​​Microsoftの公式サイト『​Microsoft Entra のプランと価格​』​

​​各プランで提供される機能は段階的に拡張され、より高度な ID 管理やセキュリティ対策が可能になります。組織の規模やセキュリティ要件に応じて適切なプランを選択することが重要です。​

Entra ID を導入するメリット​

​​Microsoft Entra ID の導入により、業務効率化やセキュリティ体制の向上、安全なリモートワーク、コストの最適化といった多くのメリットを享受できます。​

業務の効率化ができる​

​​Microsoft Entra ID が提供する シングルサインオンのおかげで、ユーザーは一度のログインで複数のアプリケーションやサービスにアクセスできます。​

​​サービスごとに異なるIDやパスワードを記憶してくれるので、都度入力する手間が省略されて業務効率が向上します。アプリやサービスごとに ID とパスワードを記憶したり参照したりする煩わしさもありません。​

​​パスワード忘れや入力ミスによるロックアウトも発生しにくくなり、IT部門のサポート業務も軽減されます。​

セキュリティ体制が向上する​

​​Microsoft Entra ID は、多要素認証や条件付きアクセスなどの高度なセキュリティ機能を備えています。ID とパスワードだけの認証に比べて、サイバー攻撃のリスクを大幅に低減します。​

​​また、​ゼロトラストモデルを採用しているため、アクセスに条件や制限をつけることが可能です。​

​​さらに、アクセスログの取得や不正ログインのレポート機能により、リアルタイムでの監視と迅速な対応が可能となり、組織全体のセキュリティ体制が強化されます。​

安全にリモートワークが可能​

​​Microsoft Entra ID はクラウドベースのサービスであり、場所やデバイスを問わず、安全に社内リソースへアクセスできます。​

​​デバイス限定のアクセス許可設定により、社用デバイスからの接続のみを許可するなど、柔軟なセキュリティポリシーを適用可能です。​

​​リモートワークやハイブリッドワークで働く社員にも高いセキュリティ環境を提供し、悪意の第三者による不正アクセスや情報漏洩を防ぎます。​

コストの最適化ができる​

​​Microsoft Entra ID はクラウドサービスであるため、オンプレミスのようにサーバー設置に伴う初期費用や運用保守にかかるコストは不要です。また、サブスクリプション形式の料金体系により、必要な機能を必要な分だけ利用できるため、コストの最適化が図れます。​

​​組織や事業の成長と変化に応じて、コストとのバランスを考慮しながらサーバーの拡張や縮小にも柔軟に対応できます。​

Entra ID には課題も…​

​​Microsoft Entra ID の利便性は高く、セキュリティ強化にも有効ですが、いくつかの課題も存在します。​

​​クラウドベースであるため、データセンターでの障害が発生するとサービス全体が停止し、全リソースへのアクセスが制限されるリスクがあります。オンプレミスの Active Directory と異なり、クラウド環境では自社での直接対応が難しく、Microsoft による復旧を待つ必要があります。​

​​また、Microsoft のネイティブバックアップソリューションが提供されておらず、データ破損など不測の事態が起こるかもしれません。​

Entra IDの弱点カバーには外部ソリューションの利用も​

​​Microsoft Entra ID は、組織内のユーザーやデバイスを一元的に管理するのに欠かせないサービスですが、万一の障害発生やデータ破損に備えて外部ソリューションを検討しておく必要があります。​

​​「​AvePoint Cloud Backup​」は、Microsoft Entra ID の停止や意図しない変更、データ破損が発生しても迅速な回復を可能にし、企業のセキュリティと業務継続性を確保します。​

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