現在どの企業も最優先課題としてデジタル トランスフォーメーションに取り組んでおり、より魅力的な成長機会を得るために戦略を練っています。このような背景から、昨今合併と買収 (M&A) の話題を耳にする機会が増えています。
最近開催された当社のウェビナー (英語) 「One Team, One Dream, One Collaboration Environment」では、AvePoint の移行専門スタッフ Mary Leigh Mackie と Kate Faaland より、企業の成長のために M&A とその価値を最適化することを目的とした Microsoft 365 への移行のベストプラクティスを紹介させていただきました。詳細をまとめましたので、ぜひご一読ください。
昨今の M&A の背景と目的
パンデミック中は取引が若干鈍化していた印象はあるものの、2020 年第 4 四半期は前年比で M&A の取引活動のペースが加速し、取引量が増加していることから、M&A 業界の成長が顕著に見られていると言えます。
PwC が実施した調査の結果、経営者の実に 76% が人材を次の分野に割り当てていることが明らかになりました。
データ アナリティクス
自動化 (オートメーション)
クラウド
カスタマー エクスペリエンス
製品およびサービス変革
さらに、経営者の 53% が主な戦略的目標を達成するため M&A 活動にさらに人材を投入する予定だと回答しています。
ではなぜ経営者は M&A をそれほどまでに成長を後押しする現実的なオプションだと考えているのでしょうか?
M&A の価値:成長
プロジェクトには必ずリスクが伴うことは周知の事実です。プロジェクトを進める決断を後押しするのは、プロジェクトから得られる対価なのです。M&A プロジェクトの場合、2 社を統合することで得られる対価の実現を後押しする一般的な要因として、次の要因があげられます。
純損失の削減(コスト)
成長の推進(新たな収益)
人材の倍増
一方で、M&A が成長につながらないことがあることも周知の事実です。設定した収益やコストの目標を達成できたか否かを指標にすれば、M&A が失敗に分類されるケースは多々あります。M&A が失敗する理由はさまざまだと思いますが、失敗に至る理由として考えられる理由をいくつかご紹介します。
※この記事は、米国 AvePoint で 2021 年 6 月 24 日付で公開された記事 “5 Steps for Launching a Successful Microsoft 365 Migration ” を日本語編訳したものです。
ここに提示されている理由とは別に、合併後、法規制の遵守を徹底し続ける法的義務や、業務の混乱を招く不確定要素など、一般的な障害が、企業が直面する一般的な課題にさらに上乗せされます。
ただし、移行と事業目標の整合性を図り、最終的に目標を達成するために、移行を円滑に進めるのは、IT 専門職者の仕事です。したがって、M&A や組織再編活動の真価と成長可能性をより理想的な形で実現することを支援するため、これらの障害を認識し、留意することが極めて重要となります。
Microsoft 365 への移行を始める
1. 検出
移行にかかる労力を大幅に軽減するために、徹底的な検出がいかに重要かは言葉では言い尽くせません。
事実、移行についてお話しする際は必ずと言っていいほど検出についての話が大半を占めてしまいます。検出の対象になるのは、システムに存在するドキュメントだけではないのです。ビジネス プロセス、ワークフロー、設定、権限、ユーザー、ライセンスも検出の対象となります。そして、十分な時間をかけてこれらすべての項目を考慮することが、後の成功に欠かせない鍵となります。
検出ツール
高い信頼性を誇る移行ソリューション プロバイダーとして 20 年の実績を持つ AvePoint は、さまざまなニーズを抱える企業のために、移行をはるかにシームレスな作業にするためのソリューションを開発してきました。ここで検出プロセスを最適化するために使用できる AvePoint のツールをいくつかご紹介します。
ライセンス検出用ツール「 Cense 」 : 「Cense」は、AvePoint の最新ツールのひとつで、ライセンスの使用状況 (ユーザーの所有/非所有ライセンス、ユーザーが使用しているライセンス、ユーザーが必要としているライセンス) を把握する機能が装備されています。
ライセンスがどのように使用されているかを理解すれば、すべてのユーザー、そして最終的に企業全体のメリットのためにライセンスの予算をより効率的に割り当てる方法について戦略的な計画を立てることが可能となります。
コンテンツ検出用ツール「 FLY 」 & 「 PI 」 : 当社が提供している Microsoft 365 専用移行ツールの主力ツールのひとつである「FLY」には、移行の実行をガイドする機能だけでなく、コンテンツ検出など移行の計画を支援する機能も装備されています。これにより、業務の中断を最低限に抑えつつ、新しい環境にユーザーを移行できます。
データ転送をためらうほどリスクが高い機密データがある場合には、「Policies & Insights」 (PI) をお使いください。PI は、機密データを検出し、より安全な移行を計画する上で役立ちます。
2. 計画
検出作業を通して、現状を把握したら、移行作業を進めるため計画を立てる必要があります。繰り返しとなりますが、深く掘り下げて検出を行えば、それだけ計画を立てる際に利用できる情報が多く得られるため、計画の質が上がります。ここで、移行の計画を立てる際に役立つ質問をいくつかご紹介します。
検出結果に基づいて、答えをお考えください。
移行元の準備は万全か?
ギャップは何か? ギャップを埋める手段とは?
何から移行を始めるか?
スループットはどのような状況か?
移行完了までに設けられた期間とは?
ここでは、買収計画を進める一方で、移行の工程をより適切に計画するために検討すべき点をご紹介いたします。
企業の成熟度
マージ後の未来の環境の状況に目を向ける前に、現在の環境の状況について考察してください。そのために、次の質問の答えを考えてみてください。
企業のプロセスの成熟度は?
データとコラボレーションについてどの程度理解しているか?
チームの移行経験は?
ユーザーの作業方法を理解しているか?
コスト & 複雑さ
一般的に企業は 2 つのライセンスへの支払いに関連するコストなどを理由に、とにかく急いで合併を進めようとします。ただし考慮すべきことはコストだけではありません。2 社の異なる環境を調整する方法についても考慮する必要があります。それぞれの企業でポリシーやガバナンス プロトコルが異なるため、2 社の環境の調整は複雑化することがほとんどです。
3. コミュニケーション
ユーザーに影響が及ぶプロジェクトを実施する場合は必ず、業務の中断を最低限に抑えるために努めることが求められます。
特に移行プロジェクトにおいては、計画の中で与えられた役割を企業に理解させ、変更についてユーザーに認識してもらうために、変更管理が極めて重要となります。この点を抑えれば、企業もユーザーも移行に備えることができ、状況や理由を理解することができるため、適応率がかなり高くなります。これはシームレスな移行を成功させる秘訣であり、社内の利害関係者を説得する鍵となります。
コミュニケーションは、思い描く変更管理を成功させる鍵となるでしょう。したがって、ユーザーにとって一番理想的な状況とユーザーにとって適切なアプローチを見出すことが必要となります。ユーザーとコミュニケーションを取る手段として、動画や一斉配信メール、タウンホールミーティングなどを活用できます。これらの手段はすべて、ユーザーの心をつかみ、協力を得るために必要不可欠です!
4. 移行
検出と計画が終わり、置かれている現状を把握し、移行中の計画を策定し、ユーザーに通知を行ったら、いよいよ移行を実行に移します。
この段階は、新たな統合環境を最適化し、企業全体にメリットをもたらすための改善について考える絶好の機会となります。
最善の移行プラクティスについてお伝えする前に、移行中に直面する可能性のある課題を見ていきましょう。これらの課題は、Teams への移行に限らず、一般的に生じる可能性のある課題です。
これらの課題の克服をサポートするため、ここでは、スムーズな移行を実現するために導入できるベストプラクティス をいくつかご紹介します。
段階移行 vs 一括移行(ビッグバン)
移行は簡単な作業ではないため、適切なツールを使用することが鍵となります。また、戦略について理解を深めるため、エキスパートに相談することが強く推奨されます。では、段階移行方式は理にかなっているでしょうか? 一般的には段階移行方式がとられることが多いものの、使用するツールによっては一筋縄ではいかないこともあります。
Exchange の移行はかなり難解です。ユーザーが現在移行中のデータと後で移行するデータの間に移行期間が生じことがあるため、新旧 2 つのシステムを平行稼働させることに苦戦する可能性があります。
「ベストプラクティス」ツール
移行ツールは、移行に絶対に欠かせない要素のひとつです。移行はうんざりするほど大変なだけでなくリスクも伴います。だからこそ、プロジェクトで使用するツールは自信を持って使えるツールでなければならないのです。
Microsoft のエコシステムを理解し、スループットを最大化するためにツールを最適化できるツール ベンダーを選択することが鍵となります。Microsoft のアーキテクチャ自体はもちろん、アーキテクチャがいかに変化するかも十分に理解しているツールが最も安全かつ確実な選択肢となります。
営業時間外の移行スケジュール作成から、Microsoft 認定 API の活用と Microsoft のベストプラクティスの維持まで、AvePoint の FLY は、企業固有の移行のニーズにすぐに対応できるソリューションです。
モニタリング & レポート
プロジェクトの進捗についてしっかりと把握することも移行時のベストプラクティスのひとつです。進捗がわかっていれば、行うべき改善や措置が必要なリスクを把握することができるだけでなく、経営陣にプロジェクトのパフォーマンスについて理解を深めてもらうこともできます。
さらに、企業の移行プロジェクトに関する詳細なレポートを提供するため AvePoint は、自社ツールの一貫として Migration Database を活用しています。さらに、レポートを微調整するために追加で Power BI を使用することもできます。これにより、プロジェクトの進行状況やプロジェクトが順調に進んでいるか、移行されたもの、移行されていないものは何かなど、プロジェクトの概要を経営陣やチームが理解しやすい形にレポートを微調整できます。
例外処理
移行における課題のひとつに、移行できない可能性があるものや個別に対応が必要な制限があるものを洗いだすことがあります。したがって、これらの例外 (例外は何か、例外が生じた理由) を理解し、最終的に例外を修正する方法を見出すことが求められます。
5. 移行後
スタッフ全員を新たな統合環境に移行した時点で、このプロジェクトが終わるわけではありません。ユーザーを適応させる方法や莫大な時間、労力、資金を注ぎ込んだ投資を最大限に活用する方法、2 社のシステムを 1 つに統合した新しい環境を最適化し、企業とユーザー両方にとって最大の価値を創出する方法などについて考える必要があります。
継続的なモニタリング、残りの作業の見直し、システムの廃止、処理、移行元からライセンスを解除したことの確認などはすべて、移行後に行うことが求められます。
もちろん、構成設定や設定、新しいライセンスなどは、移行後に設定が必要になります。
2 社の統合は、2 つの異なる企業成熟度の統合であることがほとんどです。ポリシー、コントロール、権限が 2 社間で異なる可能性があります。この可能性について理解し、2 社の調整を支援するためのさまざまな手段に役立つツールを用意しておくことが重要となります。
PI を使用すれば、ユーザーに共同作業を行う方法について判断 (Teams を作成するなど) を委ねることができ、ポリシーを使用してユーザーの決定が企業の目標と一致していることを確認することができます。これとは別に、基本的な機能を自動化し、ユーザーが新しい環境に適応している間、企業をより効率的に管理するため、PI の自動化機能を活用することもできます。
利用できる追加のソリューション
Cense についての最新情報は、AvePoint 営業担当までお問い合わせください。
その他関連リソース
M&A プロセスに関して、一見の価値のあるリソースを多数ご用意しています。ぜひご参照くださいませ! 【無料eBook】 ・セキュアなコラボレーション環境で M&A を円滑に進める方法- 交渉から合併後まで 【無料オンデマンドセミナー】 ・Microsoft 365にデータを統合し、安全な文書管理を実現するAvePointソリューション ・Microsoft 365 テナント統合、スマートなスタートダッシュと管理運用のポイントを AvePoint 流に解説!
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