「準備を怠ることは、失敗の準備をするようなものである」 ― ベンジャミン・フランクリンほど事前に計画することの重要さを的確に言葉にした人はいないでしょう。もちろん、ベンジャミン・フランクリンがこの言葉を口にした時、クラウド移行計画を成功させることについて考えていなかったことは確かですが…。
ソリューション エンジニアとして (また元 IT インフラストラクチャ コンサルタントとして)、不十分な計画が移行の失敗の原因となった現場を目の当たりにしたことがあります。Microsoft 365 への移行を効率的に計画することに失敗すれば、IT 部門やエンド ユーザーはもちろんですが、何より企業全体にマイナス影響が及ぶ可能性があります。今回は計画を立てる前におさえておくべき 5 つの重要なポイントをご紹介します。このポイントをおさえれば、移行を成功させることができるでしょう。
1.移行の対象範囲を把握し、移行に適切なスケジュールを立てる
オンプレミス環境からクラウド環境へワークロード (SharePoint など) を移行するのか、Microsoft 365 のテナント間で移行を行うのかを問わず、効率的な移行スケジュールを決定するためには、移行の対象範囲を把握することが重要となります。移行の対象範囲とスケジュールを把握できれば、予定されている変更に合わせて必要な準備をユーザーに行ってもらうよう指示できます。また、移行プロセス中にエラーを修正し、検証を実行する場合にも役立ちます。このプロセスを急ぐと、移行先の環境でのユーザー エクスペリエンスの低下や、コンテンツの紛失につながる可能性があります。
※この記事は、米国 AvePoint で 2021 年 5 月 11 日付で公開された記事 “
2.(本当に) 移行が必要なデータの量を見極める
移行を新居への引っ越しと考えた場合、新居に持っていく価値のあるものと、引っ越しに合わせて捨てる不要なものを決める必要があります。つまり、現在の環境に何があるのかを理解することが極めて重要になります。次の点について考えてみてください。
- 新しい環境に引き継ぐべきデータはどれか?
- 現在持っているデータの中に、法律や規制を遵守するために引き継ぐ必要があるデータはあるか?
- まずクラウドに移行すべき必要不可欠なデータはどれか?
上記のような質問への答えを準備しておくことで、よりスムーズな移行が期待できます。また、データをクラウドに移行する適切なタイミングを検討する際にも役立ちます。
移行元の環境の対象範囲を見極めるため、移行ソリューション (当社のAvePoint 移行ツール FLY SharePoint/OneDrive 移行前分析レポート画面
3.最初に移行する Microsoft 365 ワークロードやエンド ユーザーを決める
効率的な移行スケジュールを実行する上で重要なのは Microsoft 365 の移行計画を把握することだけではありません。移行スケジュールの中で、優先して移行すべきワークロードとユーザーを理解することも役立ちます。以下、いくつか考えられるシナリオをご紹介します。
- 試験的移行を行う計画を立てる場合、IT 部門のみを対象に実施するのか? それとも別の部門の技術専門職社員も対象に含めるのか?
- SharePoint の移行で優先すべき SharePoint のサイト コレクションはどれか?
- 部門ごとにユーザーを移行するのか? それとも支社ごとにユーザーを移行するのか?
- 経営陣の移行はどの段階で行うのか?
十分な時間をかけて、自社環境内で最初に移行すべきコンテンツやユーザーを検討し、優先順位を付けてください。これは、スロットルの問題の防止に役立つため、エンド ユーザーの業務中断を最低限に抑えることができます。また、ユーザーは現在の環境に加えられる新たな変更に十分に備えることができます。
4.サポートされていないアプリやサービスが終了しているデータを洗い出す
移行元の環境のデータを見直し、サポートされていないデータ オブジェクトやサービスが終了しているデータ オブジェクトを追跡することで、移行失敗の問題解決にかける時間を節約できます。Microsoft は、サービス終了を迎える製品のサービス終了スケジュールに関する情報を提供しています。また、移行前の分析作業中に、移行元でデータを見直す際に、サポートされていないアイテムやサービスが終了しているアイテムを確認することもできます。
5.移行中のスロットルに注意する
Microsoft 365 サービスは、Microsoft が管理しており、Microsoft はシステムの健全性とエンド ユーザーへの遅延や停止のないサービス提供を徹底することを重視しています。最近、Microsoft は平日昼間の時間帯のバックグラウンド アプリの調整制限を強化しました (バックグラウンド アプリにはコンテンツの移行も含まれます)。これに伴い、バックグラウンド アプリからの大量の要求を処理する準備が整う営業時間外 (夜間や週末) に移行を計画することが、スロットルを防止する最善の手段となります。また、営業時間外に移行を実行すれば、営業時間中、機能を一切制限することなくテナントを実行できます。
移行を問題なくスムーズに進めたいのであれば、移行の対象範囲を見極め、適切なスケジュールを立てることが極めて重要となります。問題 (スロットルの問題など) が生じた場合を考慮し、バッファーを持たせておけば、かなりのストレスを取り除くことができるでしょう。また、よりシームレスに Microsoft 365 の移行を成功させ、エンド ユーザーの作業中断も軽減できます。
★データ移行に関しては豊富な知見を持っていないと、なかなかうまく進められず移行プロジェクトが円滑に進まないといった相談も多くございます。
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