テレワークの普及もあり、社内外での情報、ファイル共有は当たり前になっています。 SharePoint Server を利用すれば、社内ネットワーク経由で自宅や移動中の社員とも情報のやり取りが可能です。
また、リアルタイムでのファイル共同編集やワークフローの作成、ポータルサイトの作成なども容易に行えるため、業務効率化にも大きく貢献します。
本記事では、 SharePoint Server の主な機能を確認したうえで、 SharePoint Online との違いについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
SharePoint Server とは
SharePoint Server とは、Microsoft 社が提供する Office 製品の一つで、社内外での情報共有やファイルのやり取りを行うためのサーバーです。
部署間やチーム間でファイルやプロジェクトのスケジュール表を共有したり、業務手順をマニュアル化したものをポータルサイト上に公開したりするといった使い方が可能です。
テレワークやフレックスタイム制を導入している企業では、対面でのやり取りが難しいケースも少なくありません。 SharePoint Server を活用すれば、社内ネットワークを通じて、どこにいてもオフィス内にいるのと変わらない環境で業務を行うことができ、効率的な業務が可能になります。
SharePoint Server の主な機能
SharePoint Server にはコンテンツ管理やポータルサイトの作成、共同編集、ワークフローなどさまざまな業務を効率的に行う機能が搭載されています。ここでは、それぞれの機能について詳しく解説します。
コンテンツ管理
部署間、チーム間で共有するドキュメントや画像、スケジュール表や見積書などの書類の閲覧・保管を管理する機能です。
また、アプリを追加すれば、 SharePoint Server 上でアンケートフォームや掲示板を作成できます。例えば、プロジェクト内の業務内容別に掲示板をつくって個別にやりとりをする、業務の進め方についてメンバーにアンケートを募るといった形で活用可能です。
SharePoint Server を活用すれば、ファイル共有やアンケートフォームの作成を複数のツールで分ける必要がなく、効率的に業務を進めることができます。
ポータルサイトの作成
ポータルサイトを作成する機能では、共有したい情報をわかりやすくレイアウトし、誰でもすぐに理解できる形で表示できます。さまざまな情報を一か所に集約できるため、必要な情報を探す手間が省け、大幅な効率化も可能です。
ポータルサイトでは、個人のノウハウや知識を部署間・チーム間で共有できるため、属人化の防止にもつながります。また、業務マニュアルや手順をまとめておけば、新たなメンバーが加わった場合でも、ポータルサイトで必要な情報が得られ、指導にかかる手間の軽減も可能です。
共同編集
出張先にいるメンバーから送られてきた見積書を修正する場合や、在宅で働いているメンバーと業務マニュアルを作成したい場合などに便利なのが、共同編集機能です。
SharePoint Server では、社内外のメンバーがリアルタイムでファイルの編集を行えます。
共同編集機能を活用すれば、一人が編集したファイルをメールやファイル転送サービスで他のメンバーに転送して、確認・修正するという手間がかかりません。チャットや電話でやり取りをしながらリアルタイムで編集すれば、迅速に業務を進められます。
ワークフロー
消耗品の発注や出張経費の承認申請などに便利なのがワークフロー機能です。
アナログなワークフローでは、担当者が紙で申請書を作成し、何人かの上長の承認を得る工程が必要になります。もし上長の一人でも外出や出張などでオフィスにいなければ、承認作業もストップします。
しかし、 SharePoint Server のワークフロー機能であれば、どこにいても承認作業が可能です。また、もし申請書に間違いがあれば、 SharePoint Server 上でファイルの修正もできるため、別のツールで申請書を修正して改めて回覧する手間もかかりません。
リスト
リストとは、 SharePoint Server 上で簡易的なデータベースを作成、管理する機能です。機能的には Excel のテーブルとほぼ同じであるものの、項目ごとに一覧表示が可能なビュー機能を使えば、 Excel よりも見やすいデータを作成できます。
リストは、書類と同様にメンバー同士で共同編集することも可能です。例えば、プロジェクトの進捗状況一覧をリストで作成し、変更があった際にはメンバー同士で編集するといった作業も、リストを使えば簡単に実現します。
検索
SharePoint Server の検索機能は、キーワードによる通常検索のほか、キーワードをダブルコーテーションで囲んで完全一致検索も可能です。また、キーワードの前に「 title: 」を入れて検索すれば、ファイルや画像のタイトル検索も行えます。
文書内にあるすべての文字列を検索対象にしているため、全文検索も可能です。 SharePoint Server を利用していくうちにファイル数が膨大になってしまった際には、全文検索を使うことで瞬時に欲しいファイルを見つけ出せます。
Office 製品との連携
SharePoint Server は Office 製品の一つであるため、他の Office 製品との連携も大きな魅力です。
SharePoint Server 上でファイルの編集ができるといっても、ファイル自体を別のツールで作成する場合、 SharePoint Server にアップロードしなければなりません。もし SharePoint Server と互換性がなければ、別のフォーマットへの変換も必要になります。
しかし、 SharePoint Server は Word や Excel のファイルをそのまま、閲覧・編集ができます。また、 Outlook のスケジュールと連携させれば、 SharePoint Server で改めてスケジュールを作成する必要もなく、業務スピードの大幅なアップも可能です。
SharePoint Server と SharePoint Online との違い
SharePoint には、サーバー型の「SharePoint Server」と、オンラインで提供される「SharePoint Online」の2種類があります。ここでは、それぞれの違いについて見てみましょう。
サーバーの有無
SharePoint Server と SharePoint Online の最も大きな違いは、サーバーの有無です。 SharePoint Online はオンライン上で利用できるため、サーバーは必要ありません。しかし、 SharePoint Server はサーバーを用意する必要があり、オンプレミスでの運用が求められます。
サーバーを用意するメリットとしては、カスタマイズの自由度が高まる点が挙げられます。しかし、サーバーを管理する知識や手間が必要なため、より手軽に利用するなら SharePoint Online がおすすめです。
コスト
SharePoint Server と SharePoint Online を比較した場合、よりコストがかかるのは、 SharePoint Server です。サーバー環境の導入コスト、維持管理コストがかかるほか、ソフトウェアのインストールも必要になります。
一方、 SharePoint Online は、サーバーを必要としないため、導入にかかるコストはSharePoint Server よりも低く、導入後すぐに利用することも可能です。ただし、前述したようにカスタマイズの自由度に関しては、 SharePoint Server に分があります。
そのため、アプリケーション開発や自社に合わせて使いやすくカスタマイズしたいなどといった場合は、 SharePoint Server がおすすめです。
社外からのアクセス
社外からのアクセスに関しては、 SharePoint Server と SharePoint Online のどちらでも可能です。また、どちらのサービスでも特定のユーザーにのみアクセスを制限する機能を備えています。
違いとしては、 SharePoint Online がインターネット経由でアクセスできるのに対し、 SharePoint Server は社内ネットワークからのアクセスになる点です。セキュリティ面では、社内ネットワークからのアクセスの方が安全性は高く、機密情報を扱う場合は、 SharePoint Server の方が安心して利用できます。
バージョンアップへの対応
SharePoint Server の場合、バージョンアップは基本的に手動で行う必要があります。そのため、サーバー運用の知識を持った人材がいないと、バージョンアップをするにも手間がかかってしまうでしょう。
一方、 SharePoint Online は、オンライン上で自動アップデートされるため、できるだけ手間をかけずに運用したい場合におすすめです。ユーザー側で特別な作業を行う必要はなく、最新バージョンの機能を利用できます。
自社にあったサービスを選ぼう
SharePoint Server はMicrosoft 社が提供する Office 製品の一つであり、 社内外での情報共有やファイルのやり取りを行うためのサーバーです。 Office 製品の一つであるため、 Word や Excel 、 Outlook などほかの Office 製品との連携もスムーズに行えます。
SharePoint Server の主な機能は、ファイル共有、ポータルサイトの作成、ワークフローの作成、共同編集などです。自社でサーバーを用意する必要はあるものの、カスタマイズの自由度が高いといった特徴があります。
SharePoint Server はさまざまなメリットがあるものの、導入・運用コストがかかるうえ、サーバー管理の知識も必要になります。そのため、より手軽に SharePoint を利用したい場合は、インターネット経由で利用できる SharePoint Online がおすすめです。
自社に合ったカスタマイズが必要か、より手軽に利用したいか、それぞれの特徴を理解し、自社に合ったサービスを選択しましょう。